第2次研究促進プログラムのご案内

3月 16th, 2014

 日本フランス語学会では、2008年から2010年にかけて実施された第1次研究促進プログラム「ことばを(で)遊ぶ」に続く第2次の研究促進プログラムとして、このたび、「パロールの言語学」と題して研究グループをつくり、研究会を実施するとともに、論集の刊行を目指すこととなりました。以下の趣意をご覧になり、参加ご希望の方は、あとの参加者募集要項にしたがって応募してくださいますよう、お願いいたします。

題目:「パロールの言語学」

趣意:20世紀を通して、言語体系、構造を探求する「ラングの言語学」がとりわけ進展し、多くの成果をあげてきたことはよく知られている。その一方で、1970年代以降は、「ラングの言語学」においては往々にして夾雑物としてうち捨てられてきた、言説のなかでの言語の実現形態の多様性を重視する研究もなされてきた。また、近年さかんになったステレオタイプ理論やコロケーション研究、さらには認知言語学における用法基盤モデルなどの成果を参照するならば、言語は規則にもとづく推論によってではなく、記憶にもとづく模倣によってなりたっていることが理解できる。すなわち、「ラングがパロールとして実現する」というのは、前後関係としては擬制的な理解であって、使用の経験の蓄積のなかにこそラングが見いだされうる、というのが実情である。いま、「パロール」にとりわけ重点をおく研究をさらに推進する価値はますます高まってきていると考える。より具体的にいうと、以下にあげるような領域の研究がかかわってくると思われる。ただし、下記の研究内容は単なる例示であり、実際にはこのわく組みで多様な研究が可能である。

  • 談話分析・テクスト言語学的研究:ディスクール志向の研究、諸言説ジャンルの研究など
  • 会話分析・社会言語学的研究:ポライトネス、社会的直示、対話理論にもとづく研究など
  • 話しことばの研究:談話調整辞、プロゾディー、ジェスチャー、話しことばと書きことばの比較など
  • 発話行為にかかわる研究:発話動詞の研究、発話操作の痕跡としての諸表現の研究など
  • 発話文連鎖の態様とその慣習化にかかわる研究:コロケーション研究、論証理論、ステレオタイプ理論など
  • ラングとパロールの差異と相剋にかかわる研究:音声学と音韻論、語用論と意味論のインターフェイスの研究、ソシュール研究など
  • 歴史的研究:新たな言語慣用が規範化する過程の研究など

<参加者募集要項>
研究促進プログラムへの参加希望者は、氏名、所属、連絡先メールアドレスを明記のうえ、研究題目ならびに研究概要をdocまたはdocx形式で1000字以内(使用言語は日本語またはフランス語)にまとめ、日本フランス語学会事務局(メールアドレス:belf-bureauアットマークcl.aoyama.ac.jp)に電子メールの添付ファイルで送ってください。受付期間は2014年6月1日から6月30日(必着)とします。

応募資格は日本フランス語学会の会員であることですが、現在会員でない方も、プログラムへの参加希望と同時に入会手続きを開始してくだされば応募可能です。

応募者には、2014年7月末までに審査結果を通知します。研究テーマが採用された参加者は、2015年9月末までに、フランス語学会例会、研究促進プログラム主催の研究会、または関連する学会・研究会のいずれかで、プログラム内での研究課題について口頭発表をすることが求められます。また、2016年刊行予定の論集に論文を投稿することができます。論文は査読により掲載の可否が決定されます。

よびかけ人:川島浩一郎(福岡大学)
塩田明子(慶應義塾大学非常勤)
渡邊淳也(筑波大学)

2014年度例会発表者募集

12月 7th, 2013

2014年度例会の発表者を募集します。例会日時・会場等につきましては下記「2014年度例会予定」をご覧ください。

発表時点で日本フランス語学会の会員であれば、どなたでも発表することができます。審査はありません。

共同発表の場合は、筆頭発表者 (ファーストオーサー) が日本フランス語学会会員であれば発表することができます。

発表をご希望の方は、下記アドレスまでどしどしお寄せください。

発表時期等につきましては個別にご相談させていただきます。

その他、「こんなテーマでもよいのだろうか?」など、ご不明な点がありましたら、どんなことでもご遠慮なく下記アドレスにお尋ねください。

多くの方のご応募をお待ちしております。

酒井 智宏 (例会運営担当 / 早稲田大学文学学術院)
t-sakai(a)waseda.jp
※ (a)を@に置き換えてください。

 

2014年度例会予定

12月 7th, 2013

日本フランス語学会では、毎年4月から12月まで (7月と8月を除く) 月一回、原則として土曜日15:00-18:00に例会を開いています。一回の例会では通常二人の方が研究発表を行います。
例会案内はこのホームページによる他、メーリングリスト frenchling でも配信しています。

例会はフランス語学会の会員以外の方でも、自由に来聴することができます。入場も無料です。みなさまのご参加をお待ちしております。

会場:  早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス)
アクセス:
地下鉄東京メトロ 東西線  早稲田駅  徒歩3分
副都心線  西早稲田駅  徒歩12分
JR山手線/西武新宿線  高田馬場駅  徒歩20分

発表のご希望やその他例会に関するお問い合わせ:
酒井 智宏 (例会運営担当 / 早稲田大学文学学術院)
t-sakai(a)waseda.jp
※ (a)を@に置き換えてください。


第291回例会 2014年4月19日(土) 15:00-18:00
※ 終了しました。(参加者22名)
会場:  早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス)  33号館16階第10会議室

(1)  田代 雅幸 (筑波大学大学院)

「副詞句 au contraire の用法について」発表要旨

司会: 酒井 智宏 (早稲田大学)


第292回例会 2014年5月10日(土)
 15:00-18:00
※ 終了しました。(参加者27名)
会場:  早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス)  39号館5階第5会議室

(1)  山本 大地 (福岡大学)

「法形容詞 pur (vrai, simple) に関する考察」発表要旨

(2)  渡邊 淳也 (筑波大学)

「単純未来形と迂言的未来形」発表要旨

司会: 守田 貴弘 (東洋大学)


第293回例会 2014年6月21日(土) 15:00-18:00
※ 終了しました。(参加者32名)
会場:  早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス)  36号館6階682教室

(1)  新田 直穂彦 (東北大学大学院)

「与格代名詞luiと中性代名詞yとの対立: ajouter, donner の構文を中心に」
発表要旨

(2)  フランス・ドルヌ (青山学院大学)

「”Je monte, je valide” ou l’énonciateur fantôme」Résumé

司会: 酒井 智宏 (早稲田大学)


第294回例会 2014年9月27日(土) 15:00-18:00
※ 終了しました。(参加者20名)
会場:  早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス)  36号館6階681教室

(1)  川上 夏林 (京都大学大学院)

「フランス語の心理・感覚動詞の意味構造と内的経験の事態認知パタンについて」発表要旨

司会: 守田 貴弘 (東洋大学)


第295回例会 2014年10月18日(土) 15:00-18:00
※ 終了しました。(参加者23名)
会場:  早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス)  33号館16階第10会議室

(1)  岸本 聖子 (立命館大学)

「法助動詞 devoir と pouvoir の陳述に関わる意味効果—語用論的観点からの分析—」発表要旨

(2)  秋廣 尚恵 (東京外国語大学)

「Corpus driven による文法記述の試み―会話コーパスに現れる理由を表す

従属節について―」発表要旨

司会: 酒井 智宏 (早稲田大学)


第296回例会 2014年11月8日(土) 15:00-18:00
※ 終了しました。(参加者2
5名)
会場:  早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス)  33号館16階第10会議室

(1)  渡邉 修吾 (獨協大学大学院)

「« C’est alors qu’apparut le renard » : 場面の転換を表す分裂文」発表要旨

(2)  津田 洋子 (京都大学大学院)

「現象文〈 Le facteur qui passe ! 〉について―VOILA <名詞句+関係節> との比較をもとに」発表要旨

司会: 守田 貴弘 (東洋大学)


第297回例会 2014年12月6日(土) 15:00-18:00
※ 終了しました。(参加者35名)
会場:  早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス)  33号館16階第10会議室

(1)  本間 幸代 (国際学院埼玉短期大学非常勤)

「par terreについて― à terreとの比較を中心に」発表要旨

(2)  春木 仁孝 (大阪大学)

「toutの強意用法について」発表要旨

司会: 酒井 智宏 (早稲田大学)

 

「執筆要項補遺」について

10月 25th, 2013

10月16日の投稿にあるように「執筆要項補遺」を変更したのですが、旧バージョンへのリンクが残っていました。「40字×40行」となっているものは旧バージョンですので、ご注意ください。現在は、新バージョンへのリンクに改めてあります。

投稿規定の変更について

10月 16th, 2013

日本フランス語学会誌『フランス語学研究』の「投稿規定」は,今春変更され,ただいま原稿募集中の『48号』から,学会ホームページにあるフォーマットを使って原稿を作成していただくことになっています.

新しい「投稿規定」およびそれに伴う新しい「執筆要項」はすでに,前『47号』に掲載しております.

今回,遅ればせながら,フランス語学会のホームページの「投稿規定」「執筆要項」および「執筆要項補遺」の記述も修正いたしました.万一,以前のホームページの記述に従って40字×40行で投稿原稿を作成している方がいらっしゃいましたら,それは新投稿規定と異なりますので,ご注意ください.

ホームページの記述修正およびお知らせが遅れましたことをお詫び申し上げます.『48号』へふるって投稿くださいますよう,よろしくお願いします.

ニューズレター第21号(2013年)

10月 10th, 2013

2013年度のニューズレターです.

ニューズレター第21号(pdfファイル)

「投稿用フォーマット」公開

7月 30th, 2013

本学会機関誌『フランス語学研究』の投稿用フォーマットを公開しました。同誌へ投稿される場合はご利用ください。

投稿用フォーマットはここにあります。

『フランス語学研究』47号目次

6月 1st, 2013

論文
 部分の与格構文にみる感覚動詞への意味拡張—対格構文との対比を通して—(川上夏林)
 IL Y A構文とVOILA構文の談話機能―指示対象の情報特性とアスペクトの分析を中心に―(津田洋子)
新刊紹介
フランス語質問箱
 etの対立,maisの対立(石野好一)
談話会・シンポジウム報告
 第二言語の音声学・音韻論と発話コーパス:フランス語と英語を例に
 フランス語教育と電子辞書
国際研究会報告
例会・講演会報告
雑誌論文目録
修士・博士論文目録
研究企画募集のお知らせ
新入会員名簿
日本フランス語学会会則
著作権について

2013年7月談話会

5月 20th, 2013

日時:7月20日(土)15時~18時
会場:明治学院大学  白金校舎 本館3階 1359教室
*これまでの談話会・例会と会場が異なります.ご注意ください.

「訳すということの多面性」

◊ パネリスト ◊
三浦信孝(中央大学、サイマルアカデミー)
「通訳者に必要な能力は何か:通訳と翻訳、同時通訳と逐次通訳、日→仏と仏→日」

斎藤かぐみ(前ル・モンド・ディプロマティーク日本語版代表、東京大学講師)
「共訳の現場を振り返って」

加藤久佳(慶應義塾大学研究員)
「 文学とその翻訳における「視点」考察 」

発表要旨

司会 須藤佳子(日本大学)

参加無料、当学会員でない方も参加自由です.多数の方々のご参加をお待ちしております.
(世話人 須藤佳子・田原いずみ)

 

2013年度シンポジウムのご案内

4月 1st, 2013

認知言語学の功罪

―「個別言語」と「言語」と「認知」のせめぎあい―

 ※終了しました。(参加者80名)

ご来場くださった皆様に御礼申し上げます。フロアとの議論の時間がとれなかったことにつきまして心よりお詫びいたします。議論の続きを別の機会に改めて行いたいと考えています。(酒井智宏、2013年6月1日追記)

日時: 2013年6月1日(土) 10:00-12:00
会場: 国際基督教大学 (ICU) 本館 304 教室
(キャンパスまでのアクセスはこちらをご覧ください。)

申し込み: 不要 (直接会場にお越しください。)
参加費: 無料

※  日本フランス語学会の会員でない方の参加も自由です。
※  フランス語を学んだことがない方もどうぞご遠慮なくお越しください。

多数のご参加をお待ちいたしております。

 

パネリスト:

西村 義樹 (東京大学)    「英語学」
守田 貴弘 (東洋大学)   「フランス語学」
河内 一博 (防衛大学校) 「シダーマ語学・クプサビニィ語学」、
ニューヨーク州立大学バッファロー校Ph.D
柚原 一郎 (首都大学東京)    理論言語学、シカゴ大学Ph.D

企画・提題・司会: 酒井 智宏 (跡見学園女子大学)

 

プログラム:
10:00-10:05  パネリストへの宿題  酒井 智宏

10:05-10:25 「英語学者」が認知言語学を研究するわけ  西村 義樹

10:25-10:45 「フランス語学者」が認知言語学を研究するわけ 守田 貴弘

10:45-11:05 「シダーマ語・クプサビニィ語学者」が認知言語学を研究するわけ
河内 一博

11:05-11:15  休憩

11:15-11:35  認知言語学(者)がこのままではいけないわけ  柚原 一郎

11:35-12:00  批判に応える / 批判に屈する / 応答を評価する

西村 義樹・守田 貴弘・河内 一博・柚原 一郎・酒井 智宏・フロア

 

– フランス語のこの言語現象には人間の認知が反映されているんだよ。

でも、英語にその現象はないですよね。ってことはフランス語を話す人と英語を話す人は認知が違うってことですか?

– ヒトとしての認知は同じだけど、顕在化する認知パターンが違うってこと。言語に現れる認知パターンを研究するのが言語学者の仕事なんだ。

そうか、認知パターンが違うから外国語を学ぶのがこんなに大変なんですね。いまドイツ語の複数形が覚えられなくて困っているのですが、きっとドイツ語を話す人にとっては、たとえば猫が複数集まる (eine Katze → Katzen) のと、鳥が複数集まる (ein Vogel → Vögel) のとでは、複数性の認知パターンが違うってことなんですね。英語だとどっちもsをつける (a cat → cats, a bird → birds) だけなので、英語を話す人はどっちの場合も同じ認知パターンだと思いますが。フランス語は複数形にしても名詞の発音が変わらないので、あ、でも冠詞は変わるから・・・まあいいや。シダーマ語の複数形を調べたら、シダーマ語を話している人たちの認知パターンが分かりますよね。言語を調べただけで認知パターンまで分かるなんて、すごいなあ。でも、猫が複数いるのと鳥が複数いるのとで、いったい何が違うんだろう。想像もできないや。

– そんな細かい形態変化にまで認知パターンが反映されているかとはかぎらないよ。

え? 認知言語学の授業で「形式が異なれば意味も異なる」って習いましたけど。じゃあ、先生が研究されている言語現象にだって、フランス語を話している人たちの認知パターンが反映されているとはかぎらないですよね。

–  人間の普遍的な認知というものがあって、それがある特定の形をとってフランス語の表現に現れているということなんだ。私はそういう表現を研究しているのさ。

その人間の普遍的な認知というのはどうやったら分かるんですか。まさかフランス語や英語やシダーマ語etc.の表現から共通部分を取り出して、なんて言わないでくださいよ。そうやって取り出された「認知」が言語に反映されているのは当たり前じゃないですか。本物のブーメラン遊びは楽しいかもしれませんけど。

– 認知科学や脳科学といった学問があるから、それらを勉強してみるといいよ。

じゃあ、フランス語なんか経由しないで、いきなりそれらの学問を研究したほうが簡単に認知パターンの可能性を調べられますよね。なんでわざわざ回り道するんですか。

– われわれはフランス語学者だから、フランス語そのものを見ないといけないんだ。