Archive for 9月, 2019

『フランス語学研究』第54号特集論文募集:テーマ「フランス語の対照・比較研究」

木曜日, 9月 12th, 2019

日本フランス語学会の2019年度の年間テーマは「フランス語の対照・比較研究」です。それに合わせて『フランス語学研究』第54号 (2020年6月刊行予定) では、本テーマの特集論文を募集しています。フランス語と他言語との対照や比較を通じて垣間見えてくる、両言語のさまざまな特質が浮き彫りになるような、優れた論文が投稿されることを期待しています。原稿提出締切は2019年11月末日必着で、投稿方法は従来通りですが、投稿の際に「表紙ファイル」で「形式」を「特集論文」としてください。なお、それ以外のテーマの論文も従来通り募集していますので、そちらも奮ってご投稿ください。

投稿規定や執筆要項は、学会ホームページ (https://www.sjlf.org) をご参照ください。

日本フランス語学会編集委員会

2019年度 日本フランス語学会談話会のお知らせ

火曜日, 9月 10th, 2019
日時:11月9日(土) 13時〜16時 
場所:早稲田大学33号館6階第11会議室 (戸山キャンパス) 
テーマ:「コミュニケーション・表象・言語の進化」

企画・司会 守田貴弘
パネリスト: 
香田啓貴 (京都大学霊長類研究所) 
 「霊長類のコミュニケーションに見られる象徴性」

言語能力の中で,象徴性をともなう記号的な信号生成とその理解ができるかという点は,もっとも根幹的
な要素と考えられる.ヒト以外の動物,霊長類で,その能力がどの程度共有されているといえるのか,あ
るいは,根本的に欠落しているものなのかということを考察することが,言語能力の進化のなかで重要か
と考えられる.「ほぼ」無限の記号的な信号生成能力は,ヒトにしか確認できないものである一方で,特
定の発声や身振り自体が,特定の状況を参照する事例自体は,ヒト以外の動物でも存在していることも事
実である.その
ヒトとサルとの間を接続する過程や仮説,可能性について,これまでの研究事例を紹介しながら,議論で
きる話題を提供する.

狩野文浩 (京都大学高等研究院―野生動物研究センター熊本サンクチュアリ) 
 「類人猿の心の理論」

心の理論とは,自己および他者の心の状態を理解する能力のことで,ヒトのコミュニケーションおよび社
会行動全般において重要な役割を果たしている.ヒト以外の動物においてこの能力が認められるのか議論
となっている.ここでは,ヒトに進化的に最も近い動物である類人猿における,最新の視線課題を用いた
研究成果を紹介したい.これまでの研究から,類人猿は,他者の目的や自己の記憶,誤信念に基づき,他
者の行動を予測できること,また,自己の視点を他者の視点に投影できること,他者のコミュニケーショ
ン意図を理解することなどが明らかになった.

守田貴弘 (京都大学大学院人間・環境学研究科) 
 「言語はジェスチャーから進化したのか:日本語話者とフランス語話者の言語行動と非言語行動」

言語の起源を考えるとき,有力な説となっている1つはジェスチャー起源論である.本発表では,日本語話
者とフランス語話者におけるジェスチャーの共通性と言語レベルの相違を示すことにより,ジェスチャー
起源論をある程度支持しつつも,言語が今あるような姿になった瞬間に,言語は文化的に独自の進化を遂
げる道を進み始めたのであり,文化進化の研究が重要なのではないかという提案を行う.ヒトにはもちろ
ん心の理論があり,複雑な表象能力は等しく共有していると考えられるが,個別言語が成立した後の文化
固有の進化がある可能性について議論したい.

世話人:田原いずみ(明治学院大学)/秋廣尚恵(東京外国語大学)